グッピーの飼育・繁殖の方法
グッピー飼育の概要
グッピーの飼育についての相談でよくあるのが、グッピーの飼育を、メダカなどの飼育と同じに考えて失敗する例ですが、メダカとはちがうことがいくつかあります。
グッピーの飼育を始める前に、このサイトの飼育方法を順番に読んでいただければ問題ないとは思いますが、このページではとにかく一通りグッピーの飼育と繁殖の方法を知りたい方のために、グッピーの飼育の概要をお伝えします。
グッピーってどんな魚
“熱帯魚はグッピーに始まり、グッピーに終わる”といわれほどの熱帯魚の代表的種。
現在でも世界中でさまざまな品種が作出され、優雅で美しいヒレを楽しむことができる種です。
非常に種類も多く自分で品種を作成したりコンテストに出品したりできるため、非常に奥が深い熱帯魚です。基本的には改良品種のため飼育、繁殖が容易ですので、熱帯魚飼育の基本を学ぶには最もふさわしい種でしょう。
また、グッピーは繁殖力が強く、卵胎生のメダカなので卵ではなく稚魚を生みます。
卵から産まれる魚が多いなか、モーリーやプラティなどと同じ様に稚魚の形で産まれる魚で、初めての方でも繁殖にトライし易い種類です。
最初は数匹しか居なくても、稚魚の隠れ場所を作って飼育しているとどんどん増えてゆきます。
稚魚は、1ヶ月程度でオス、メスの区別がつくようになり、3ヶ月以上たった若魚は交尾、出産させることができます。
外国から輸入をされた外国産と、国内で繁殖された国産がありますが、外国産は安いのですが病気を持ち込むことも多くあるため、新しく水槽に加えたりはしない方が良いでしょう。
その為、水槽は心持ち大き目を用意しておくと、ストレスが少ないでしょう。
グッピー飼育に必要な道具
グッピーも、気を付けて飼育をすればメダカのように小型の金魚鉢でも飼育はできますが、いきなりではまず失敗しますから最初は基本にのっとた飼育をしましょう。
先ず、熱帯に住んでいる魚なので25度前後に水温を保ってあげる様にします。
そのため、気温が15度以下になるところで飼育するには、水槽とろ過装置、の他にヒーターが最低限必要なものになります。
良い条件だと、スクスクと稚魚も育ってくれるので、水槽は小さ目よりも、気持ち大き目サイズを選んでおきましょう。
詳しくは熱帯魚飼育の基礎からご覧ください
グッピーの餌
エサも何でも良く食べてくれますが、初めてで良く分からない場合は、熱帯魚用、メダカやグッピー用と明記された物を購入すると良いでしょう。
餌の与えすぎによる水質の悪化、少なすぎによる痩せに注意して、少量の餌を1日に数度与えます。
特に稚魚の飼育にはブラインシュリンプが使われますが、普通の餌を指ですり潰したものでも飼育はできます。詳しくは餌についてのページをご覧ください
グッピーに適した水質(PH)
グッピーはややアルカリ性の水質に適した熱帯魚です。
そのため、大磯砂など、多少貝や珊瑚が入っている砂だと、最適な環境が目指せますが、弱アルカリ性から弱酸性まで適応できますので、サンゴ砂、セラミック、水草用のソイルなど、市販されている熱帯魚用の底砂なら何を使っても飼育は可能です。
グッピーの飼育には大磯砂がよく用いられますが水草を一緒に入れる場合は新しい大磯砂ではうまく育たないことも多いので、水草用のソイルを使った方が良いかもしれません。
グッピーの飼育だけを考えれば底砂はなくても飼育はできます。
グッピーと混泳できる魚
グッピーを他の魚と混泳させる場合には、(グッピー同士でも多少の小競り合いはありますが)大きさや性質が似ているおとなしい魚(プラティ、グラミー、コリドラスなどの熱帯魚がお勧めです)となら混泳できます。
フグやハゼの仲間、モーリー、エンゼルフィッシュなどはグッピーに攻撃を仕掛ける場合が多いのでおすすめしません。
ただし、生まれて数日の稚魚はグッピーの成魚や、混泳魚に食べられることがよくあります。
体長1センチ程度のスカーレットジェムにもかなり捕食されたことがありますので、自然に繁殖する水槽を目指すなら稚魚が隠れられる様に、密生した水草などで隠れ場所を作る必要があります。
本気で繁殖を目指す場合には稚魚を別けて飼育するとよいでしょう(詳しくは下の繁殖の項目をご覧ください)。
苔取りとして知られるブッシープレコやオトシンなどなら稚魚と一緒でも問題なく飼育できます。
グッピーの日常の世話
日々の管理ですが、1日に1回~2回すぐに食べきれる程度の餌を与え、定期的に水を交換すれば良いでしょう。
水替えの頻度は、魚の匹数や水量、ろ過の状態、餌の与え具合、などにより異なるので、決まった期間はありませんし、実際には数年間水を変えていない水槽でもどんどん繁殖しますが、1週間に1回、3分の1から半分の水を交換する方法が最もよく進められており、水替えをすると稚魚の成長がよくなるということが知られています。
(旅行などで10日程度えさを与えられなくても、水替えをしなくても死んだりはしません。)
グッピーの繁殖・産仔のタイミング
雄と雌を一緒に入れておくと、いつの間にか稚魚が泳いでいるということが多いグッピーですが、グッピーの繁殖方法は卵胎性といって、卵ではなく、いきなり稚魚を生みます。
(グッピーやプラティーなどの卵胎性の魚は卵ではなく仔を生むため産卵ではなく産仔といいます。)
金魚のように卵を産んで、親が自分で産んだ卵を食べてしまうということがないので繁殖は成功しやすいのですが、稚魚のうちは親魚、他に混泳している魚に食べられたり、つつかれて死んでしまうこともありますので、増やしたい場合は、水草などで隠れる場所を作るか、産卵箱などで稚魚を保護してやる必要があります。
グッピーの繁殖のポイントとして、当然ですが、健康な雄雌の成魚がいることと、親魚が稚魚を産むタイミングを知り、産卵箱などに隔離してで産ませることが挙げられます。
繁殖には健康なオスとメスを一緒に飼育する
繁殖に使う親魚を選ぶ場合に、オスメスともに元気に泳いでいる事の他にも少し見ていれば繁殖に向くかどうか判断しやすいポイントがあります。
オスを選ぶ場合に、最初はつい色などに目が行ってしまいますが、メスを追いかけまわさないようなオスでは繁殖は難しくなります、いくらきれいでもメスを追いかけるかどうかは見極めてから購入しましょう。
メスは太目のメスを選ぶと良いでしょう、極端に痩せたように見えるメスや泳ぎ方がおかしいメスは繁殖には向きません。
最初に買う際によく見ておく必要があります。
また、自宅で繁殖させ続ける場合には親兄弟からの子は奇形が出やすくなることも知っておきましょう。(アルビノなどでは特に顕著です)
稚魚を産むタイミングを見極める
・メスをのおなかが破裂しそうな程膨れている
・おなかの後ろ、おしりの部分のが尖ってくる
・お腹に中に黒い点が見える(これは稚魚の目なのでアルビノでは黒くは見えません)
以上の点が見られたら、もうすぐ稚魚を産みます。
最初のうちは、おなか一杯にえさを食べたメスとの区別が難しいかもしれませんが、特にお尻の部分が角ばって尖ってくると産卵は間近です。
メスを産卵箱に隔離し稚魚を産ませる
稚魚を産ませる環境は、産卵箱などがあると良いです。
これに、産仔直前と判断したグッピーの雌を1匹入れます。
そして稚魚が生まれたら、雌と隔離します。
ただし、産仔にかかる時間は個体差が大きく、数十分から半日程度かけて次々と生まれてくるので、あまり焦って産み終わりと判断しないでください。
初めての産仔で5匹程度、成長するにつれ何十匹も産むようになります。
なお、一般的に売られている産卵箱はとても狭く、広い水槽から移されたグッピーにとっては、大きなストレスになりますので、産む直前と判断したら産卵箱に移すようにしましょう。
グッピーの稚魚の育て方
グッピーの稚魚の飼育は、水草等のある水槽で勝手に繁殖させる場合は通常の飼育方法で構いませんが、稚魚を確実に飼育したいなら、2週間程度は稚魚用の水槽や産卵箱などで飼育します。
水を強制的に循環させる機能のない産卵箱で飼育する場合は、糞などはスポイトで吸い取り、汚れを防ぐと良いでしょう。
稚魚用水槽で飼育する場合はスポンジフィルターを使うか、吸水口に目の細かいスポンジのストレーナーを付けるなどしてフィルターに稚魚が吸い込まれないようにする必要があります。
底面濾過でも大きめの砂を使っているとフィルターの中で稚魚が大きくなっているのを目撃したことがありますので気を付けてください。フィルター内の稚魚画像
また、水温を通常より高めの28度程度にした方が成長は早くなります。
産まれたての稚魚の餌についてですが、グッピーの稚魚は産まれてすぐにえさを食べ始めますので、産まれた当日からなるべく頻繁に餌を与えるようにします。
可能であればブラインシュリンプを与えるのが望ましく、一日に5回以上程度与えると成長が早いのですが、無理な場合は乾燥した餌を細かく潰して、与えるようにしましょう。
ブラインシュリンプの孵化のさせ方と与え方についてはブラインシュリンプに記載してあります。